トレーニング・後編

今回のコースの最後、Elaineから、セラピストとしての心構えについての話があり、

すごく印象的だったエピソードが二つあるので、今日はそれについて書かせていただこうと思います。

一つ目は、クライアントに  “痛い” “不快” などの注意を受けた時。

Deep Tissueは刺激が強いので特に注意が必要なのですが、そのような時に何とお伝えするのか。

これはイギリスだから、日本だからということは関係なく、人それぞれの受け答えがあるかと思います。

 

想像ですが(言われた経験も含め)、《すみません Sorry》 が一番多いのかな?と感じています。

中には、謝ってはいけないと教育しているスクールやサロンもあるようですが。

何が正解ってないと思います。セラピストが精一杯心を込めて施術をしていたとしたら、小手先のマニュアルよりも、心から出てくる言葉の方が、心地がいいのではと感じています。

 

でもそこで、Elaineが教えてくれた一言は

《Thank you for telling me ! 教えてくれてありがとう!》

その部分が痛いって教えてくれてありがとう。

痛いって言われたら、その部分の施術はテクニックを変えるか、圧を変えるか、別の体のパートからアプローチするか、はたまた今日は触らない方がいいか、など、セラピストは頭の中でアレンジし直します。

《ごめんなさい》と伝えても、《教えてくれてありがとう》と伝えても、その後やることは同じです。

だったら伝えた後に気持ちの良い空気に包まれた方が、お互いに幸せかもしれないな、と、かなり衝撃で目からウロコでした。

Elaineも大昔はSorryと言っていたようですが、ある日、クライアントが教えてくれたことに対して、感謝を伝えた方が気持ちがいいな、と感じたそうです。

 

二つ目は、セラピストの心の健康を何よりも優先すべきだということ。

クライアントによっては、マッサージセラピーの範囲外を求めてくる方もいらっしゃいます。

または、思い通りにセラピストを動かそうとするクライアントもいます。(ほとんどないことだとは思いますが。)

Elaineは過去に何人かそういうクライアントに出会ったそうです。セラピー後はどっと疲れて、ぐったりしてしまう。そして嫌な気持ちが残ってしまう。

 

そして感じたのは

《It’s not my business.  これはわたしの仕事ではないわ。》

そして、もう二度とそのクライアントの予約は受けないそうです。

フリーでセラピストをしている彼女は、クライアントの数が収入になります。

それでも、お金よりも重要なことは、セラピストの心の状態、そしてマッサージセラピストとしての尊厳を守りなさいと教えてくれました。

クライアントとセラピストが対等と考える、お国柄ならではだなと思いました。

(いや、そもそも対等なはずなのですが。)

日本の多くのセラピストさんはとても優しいし、キャパシティー以上でも、どうにかしたいと考えがちですし、お客様は神様です、なんて風潮もあったりして、自己犠牲をしてでもがんばってしまう方が多いような気がします。(これはセラピストに限らずですが)

でもそれは本当に自分の尊厳を守れているのか。他のクライアントさんの幸せになっているのか。

違った文化に触れることは、すごく価値観を広げてくれるな〜と感じた出来事でした。

そして向こうのセラピスト達と過ごして感じたのは、自己肯定感が高いということ。

生まれた時から、あれだけポジティブな言葉に包まれて育ってきたら、それはそうだろうと思いますが、だからこそ、自分自身、自分の仕事、やっていることにしっかりと自信とプライドを持っていて、それ以上の無理はしない。

何が正しい、間違っているということではなく、いろんな考え方を知ることは、自分の世界を大きくしてくれるな、と実感しています。

ただ、日本だろうがイギリスだろうが、そこまで刺激的なクライアントさんはそんなにいらっしゃらないと思いますが(笑)

 

今回のコースは経験者のためのレッスンだったので、現場で起こりうる、このような少し踏み込んだ話が聞けて、技術とともに、とても勉強になりました。

自分がこの先さらにどういうセラピストになって、どういう信念を持っていくのか、ということを、すごく考えさせられる時間になりました。

いつか答えが出るのか、理想のセラピスト像になれるのかは分かりませんが、常に自分自身と内部対話をし、クライアントさん、そして自分自身の幸せのために、これからも大好きなセラピーをしていきたいと思います♡

トレーニングのブログはこれで最後となりますが、この旅は本当に本当に幸せな経験でした。

毎日夢のように過ぎていき、こんなことってあるんだな、と、帰国後ずいぶん経った今でもまだ夢心地です。

理解を示してくださったクライアントさん。

嫌な顔一切せずに行かせてくれたオット。

ブログをお読みくださった皆さま。

そしてクラスメイトとアシスタントのジューン、大好きなエレインに。

愛を込めて。Xxx

 

 

 

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